乳児臍ヘルニアのテープ固定法
近年、乳児臍ヘルニアに対して圧迫固定を行うことで、早期に、高率に治癒することが知られ、乳児の診療を行う多くの施設で施行されています。当科のテープ固定についてご紹介させていただきます。
施術前
- 最適な開始時期は最初の予防接種の始まる生後2か月頃から3か月までの間です。
- 初診時に、乳児に腹圧のかかる環境の有無を聴取します。よく泣く、便が出にくい、唸る、など。
- 御家族に対し、無処置では皮膚の余剰や臍突出症が起こりえること、圧迫療法での治療効果、受診回数、注意点などを説明し、同意が得られてから開始します。指導管理料を1回算定可能となります。
- 乳児の皮膚がワセリン塗布などでテープの貼付困難と思われれば、先に洗面所風呂で石鹸を使ってきれいに腹部、臍の皮膚を洗います。
- 3Mのマイクロポアテープの細いタイプと太いタイプを用意して、ベッドサイドにあらかじめ腹幅に合わせて切って貼り付けておきます。
- ヘルニアを綿棒で押して臍輪を超えて腹腔内に整復します。
- 臍となる皮膚の頭側と尾側にそれぞれ細テープを3本ずつ固定します。臍の上下入り口をシャネル型にするための第一の工夫です。
- その後、臍左右の皮膚を寄せ集め、テープで固定します。この時に乳児が大泣きするので、息を吐ききった後に息を吸い込んだ吸気末のお腹が凹んだタイミングでテープを張ることが一番重要です。寄せ集めた皮膚がしっかりとした圧迫子となるようにします。
- その後は静かに押さえの綿棒を取り除き、左右の皮膚が動かないように細テープで固定します。
- 両脇程度の長さで、左右のテープの端を切りそろえます。
- 入浴時に細いテープの間に水が入らないように太いテープを頭側から順次貼付します。
- 圧迫開始1週目が一番重要な時期なので、保護者には、仰臥位で寝たり、泣かせないよう、できれば立抱きをしたり、保護者の上で寝かせたり、目の届く範囲で側臥位で眠らせるなど、慎重なお世話をお願いします。呼吸や啼泣時に腹部に力が入って皮膚の寄せ集めの間からヘルニアが出ないようにします。
- テープが端から外れてきたら、皮膚との付着ギリギリで切り、正中部の臍の固定が守られるようにしておくようお願いしておきます。外れたテープの端が抱っこの時などに皮膚との摩擦を起こして皮膚炎を惹起するためです。
- 1週間後の外来受診時に、左右の端からテープを180度折り返して正中に向かって外し、最後に正中に残ったテープを頭側から尾側へ外します。
- 臍を観察して、洗面所入浴できれいに洗います。
- 左右皮膚の引き寄せや、テープによる皮膚炎はほとんど生じないが、児のもともとの肌質が悪い時には軽度の皮膚炎は起こりうることをあらかじめ説明しておきます。また皮膚炎が軽度であればそのまま治療を継続し、ヘルニア治療を終えた後にスキンケアで治すことをよくよくお話しておきます。
- テープに軟膏がつくとテープの圧迫が緩まって治療の弊害になるので、治療期間中は乳頭以上の顔面頸部、ひざ下のみのスキンケアをお願いします。
3週間後
乳児臍ヘルニアを治療することは、保護者の育児不安も改善させ、同時に児の将来的な整容面でのコンプレックス予防になりえると思われるので、熱い信念をもって治療していただきたいと思います。